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家庭菜園

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【実践編】月毎の栽培ポイント


作付け前の畑の準備

 桜咲くころともなれば春夏作野菜のための畑作りの始まりです。野菜の生育に適した畑土は、(1)水はけが良く適度の空気を含んでいること、(2)水持ち(保水力)が良いこと、(3)土壌の酸度(pH)が適正であること、(4)病原菌や害虫がいないこと、(5)肥料分に富むこと、などです。(1)~(4)は耕起と堆肥の施用、(5)は上手な施肥によって達成できます。
 冬の間に石灰を全面にばらまき耕しておいた畑に、十分な堆肥が確保されているなら早めに畑全面に堆肥をまいて20cmぐらいの深さによく耕し込んでおきます。
 庭先や小さな市民農園では1区画制にせざるを得ませんが、2~3a以上の菜園なら3~4区画に分けて作付け計画を立て、同一種類が連作にならないようにし、土壌病害の伝染や害虫(主にネマトーダ)を未然に防ぐことが大切です。
 種まきまたは定植の半月以上も前に元肥を施しておきます。そのポイントは「作付け開始後では与えることのできない根域の土層に、根がしっかりと張り、肥料分が長い間効き続けるような性質の堆肥と肥料を与える」ことです。野菜の種類ごとの根の張り具合をよく知って、元肥を施す位置を決めましょう。
 果菜類の場合、図に示すようにトマト、ナス、ピーマンなどナス科のものは、根が深く、縦型に伸びる性質があるので、畝の中央に深く溝を掘って、主要な根が深く張るよう導きます。こうすれば土壌の乾湿にもよく耐え、草勢が長く保たれ、果実の発育障害を少なくすることができます。キュウリ、メロン、シロウリなどウリ科は根系が浅く、幅広く、横型に形成されるので、元肥は浅く幅広に与えます。ベッド全面に耕し込むのが手っ取り早いでしょう。
 葉茎菜類、根菜類の場合には草姿が小さく、比較的密植されるものが多いので、元肥は畑全面に与え、耕し込むようにします。
 いずれの場合にも、根が酸素不足になることなく、広範囲に張らせるためには、元肥として中熟程度の粗めの堆肥(稲わら、刈り草、サツマイモ、トウモロコシの茎葉など)と、長めの肥効が発揮できるような油かす、緩効性の化学肥料などをその上にばらまいておきます。
 その後すぐに、溝状の場合(図上)には土を埋め戻し、大まかに畝を作りますが、低湿地では排水のことを考えて高めにしておきます。畝全面の場合(図下)には半月ほどたってからもう一度耕し、肥料を土になじませます。

坂木技術士事務所●坂木利隆


<【JA広報通信】より引用>