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【実践編】月毎の栽培ポイント


必ず成功するワケギ作り

 野菜作りの難易度が最も低いグループ、すなわち誰でも作れて、身近にあると大変重宝なお薦め野菜がワケギです。
 ネギとタマネギの仲間シャロットの自然交雑により生まれたF1で、種子はできず、もっぱら球根により増殖します。そのため種球(球根)を植え付けて育てるのです。秋口に種球を植えておくと間もなく芽が出てきて、1株から20~30本もの細ネギが伸び、柔らかくて香りのある葉が収穫できます。薬味や吸い口に、鍋物に、魚介とぬたに…と、調理を楽しめます。
 もう一つの魅力なのは、葉を刈り取るとすぐに再び若い葉が出てくることです。そして、ワケギの性質として一生花を付けず、とう立ちしないので、刈り取りを数回以上行うことができ、同じ株を秋→冬→春と、大変長い間利用できることです。
 育て方は至って簡単。7~8月になると園芸店の店先に、ネット袋に、多数入った種球が売り出されるので、それを買い求めて、1ヵ所1~3球ずつまとめ、株間15~20cm間隔に植え付けます。プランターにも好適。縦長の20X80cmぐらいの大きさなら2列に、15cm間隔ぐらいでよいでしょう。植え付けに先立って、図のように病害などに汚染されている外皮を取り除き、充実した球を選ぶようにします。良質の葉を得るには前もって完熟堆肥と油かすなどを施しておくことが必要です。植え付けに当たっては少し伸び始めている芽先が、地面にのぞく程度の深さになるよう留意します。
 芽が伸び、草丈が15cmぐらいになったころ、株間に化成肥料と油かすを少々(5株当たり各大さじ1杯ぐらい)を与えます。
 収穫は草丈が20cm内外に伸びたころから行うのが一般ですが、株元を地上3~4cmほど残して、はさみか刃物で刈り取ります。ネギ類は全てそうですが、切り口からはすぐに、中で分化、成長しつつあった新葉が伸び出し、やがて元のようなワケギの形に育っていきます。刈り取ったらすぐに前回と同じぐらいの肥料を株の周りに施し、土に軽く混ぜ込んでおきましょう。量や回数は、葉色や葉の伸び具合を見て適宜調整してください。
 収穫は4月中旬ごろまで(品質が低下してしまうまで数回の刈り取り)続けることができます。その後次第に葉が黄化し、ついには完全に枯れ上がってしまいます。このころには株元にたくさんの球根ができ、休眠状態に入ってしまいます。これは次年度の種球として利用できるので大助かりです。休眠が明けるのは7月ごろからです。それまで風通しの良い日陰で転がしておくだけでよいのです。

坂木技術士事務所●坂木利隆


<【JA広報通信】より引用>