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水田の土づくりについて


■地力の低下とは

 一口に「地力」と表現される中には、
1 必須要素、微量要素の蓄えが十分にあること
  例:苦土、鉄、ケイ酸、腐植(有機物)、窒素肥沃度
2 要素の過剰がなく、EC、PHが適切であること
3 肥料成分の保持力があること
4 根張りや水分保持力を左右する物理性が適していること
5 土壌病害が蔓延していないこと
6 マメ科における根粒菌など、有用微生物が着生していること

などさまざまな側面があります。
 地力が低下してくると、欠乏症状が生じたり、肥料もちが悪かったり、根域が小さく健全な生育をしなかったりなどの不都合が現れます。
 作付け前の期間、農閑期を利用して、持続的な農業生産のための土づくりに努めましょう。

■土壌改良資材による土づくり

 肥料からは供給されない微量要素や、そのほ場で不足している成分の補給、pHの矯正などを行います。
 土壌診断を行い、リン酸、苦土、遊離酸化鉄など、不足している成分を補える資材を施用するのが基本的な考え方です。家畜ふん堆肥を投入する場合、主要な成分は堆肥に含まれているため、土壌改良資材の施用は必要ないことがほとんどです。
 pHの矯正に使われる石灰質資材は、窒素と反応するため、窒素肥料の施用とは期間をあける必要があります。
 石灰窒素は稲わらの腐熟を進めるためにすき込みと同時に施用することもあります。稲わらすき込み時に石灰窒素を施用した場合、石灰窒素20kgにつき、窒素1kg分を翌春の基肥から減らします。

■堆肥、有機物による土づくり

 不足する要素は堆肥によって補給することもできます。堆肥は有機物なので有機物としての効果も期待できます。
 有機物の主な成分である炭素は、そのままでは作物に利用されませんが、地力窒素を供給する微生物のエサとなり、持続的に窒素を供給する役割を果たします。また、水や空気を保持し、物理性を改善する効果もあります。水田では、稲わらが重要な有機物の供給源になります。稲わらを持ち出す場合には代わりの堆肥施用を検討しましょう。
 堆肥で注意しなければならない点は、成分の含有量が種類によって一定でないため、個別の検討をしなければ過剰投入になる恐れがあることです。また、家畜ふんでは雑草の種、寄生虫、病害虫の残留も気になるところですが、堆肥化が適切な条件で十分醗酵されていれば、これらは死滅することがわかっています。
 未熟な有機物は、土壌と混和することで急激に分解が起こり窒素飢餓やガス障害、生育阻害物質による障害が生じる恐れがあるため、早めにすき込み、作付けまでに穏やかな状態にする必要があります。このような観点から、稲わらなどの未醗酵有機物や初めて使う堆肥は年内にすき込むことが薦められます。使い慣れた堆肥で、完熱していることがわかっていれば作付けの1か月前まで近づけても良いでしょう。その場合、肥料成分が作物に利用される率が高くなるので、減肥する量を多めに見積もります。


尾張農林水産事務所農業改良普及課(農業普及指導センター)

 

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